都落ち女子大生の日記

都内の大学に通うも体調不良により就職活動中断、1年の休学を決断、そして田舎へ帰るのであった。

救えない田舎の夏



再び病院に行ってから3日が経つ。

当日の朝、ひとり閑散とした駅のホームに降り立った。病院までは電車で230分とバスで15分ほど。そんなに離れた距離ではないが、厄介なのは、バスの本数が極端に少ないということだ。ターミナルに向かっている途中、どのバスに乗ればいいのか調べようとグーグルマップとにらめっこしているうちにバスを一本逃してしまった。マップ上では2番乗り場と表示されていたはずなのに、実際は1番乗り場に変わっていたのだ。調子にのって電車に乗る前に買ったスタバの紙袋を落としそうになった。案の定袋の中でカップの中身がこぼれている。こんな田舎でスタバの紙袋をもっていること自体恥ずかしくなってきた。しかも1時間以上待たなければ次のバスは来ない。なんて日だと思いつつ、タクシー乗り場に向かうと34組ほどの列ができている。しかしタクシーは一向に来る気配がない。やれやれ…


初めて降り立つ駅でも、都会のほうがまだ安心する。コンビニもカフェもなんでも、何かあったら入れる場所がたくさんある。しかし田舎の初上陸駅ほど心細いものはない。もう時間もなくなってしまうので、再びグーグルマップを取りだして、徒歩用のルートを検索し歩き出した。駅からおよそ30分、曇り空なのがせめてもの救いだ。



歩いていると細い道の横に川が流れている。のちに分かったことだが、川に沿って歩くルートであったらしい。昨晩の雨のせいで青白く濁っている。なんで青いのかよくわからないけど、歩きながら川を見るなんて久しぶりだったのでなんだかいい気持ちだった。行く道行く道、出くわすのはどこかを見つめて静止する老いた男性や、どこかの制服を来て必死に自転車をこぐおばちゃん。田舎に来れば少子高齢化の実態が丸裸である。田舎にいながらも、映画や美術、演劇などの文化に触れながら生活していきたい、などと言っていた半年、1年前くらいの自分に言いきかせたい。

「文化とは人の集まるところにできるのだ!人というのはアイデアや意欲をもった人のことであって、ただお年寄りがたくさんいればいいというわけじゃない。そもそも必要とされないから田舎には文化が育たないんだ!」と。


東京にいてよかったのは、見たいもの聞きたいものがすぐそばにあったことだ。まさに「会いに行けるカルチャー」とでもいえる。距離が近いというのはやはり長所であり恵まれている。もはやネットフリックスやユーチューブで娯楽が事足りてしまう時代に、場所にこだわる必要はないのかもしれないが。



そんなこんなで道を間違えつつ歩いていたら受付時間ぎりぎりに到着した。ぶらぶら歩いたとはいえ30分くらい外を歩くだけで疲れを感じた。じわっと汗がにじむ。

2週間前とは違って待合室にはたくさんの人がいた。やっぱり人気なんだなぁと思いつつそばの椅子に座る。予約してあったのでわりと早く名前が呼ばれ、暇つぶしにいくつかのコラムを読んでいたら続いて診察室に呼ばれた。今回は2回目だし、特に症状が悪くなっているわけでもないのでかなりあっさりした診察。診察ともいえない。

「ちょっと旅行に行くのでその分の漢方は粉タイプにしたいんですけど…」

と言って終了。例の疾風先生も

「数日間だけ粉ね!おけ!あとは大丈夫だから今日はもういいですよ」

だけで終了した。


苦労して来たわりにはこんなもんか。肌もなにも見なかったぞ。顔はまだよくなってないからそれだけで判断されたのだろうか。まあ2週間でどうこうなるアレじゃないので細かくは見ないのかな。とぼとぼと待合室に戻る。お会計に呼ばれると、次回からは診察無しで薬だけもらいに来ることができるそうだ。いいんだか悪いんだかわからないけどまあいいか。名薬求めて三千里。



病院を後にして徒歩15分くらい先の薬局へ。薬局が遠いんじゃ!また例の半ズボン先生と ハキハキウーマンがいらっしゃって漢方をくれた。



「漢方はどうでしたか、飲めましたか。」

「はい、なんとか飲めました。大丈夫そうです」

「それはよかったです。暑いので紫外線対策をしっかりしてくださいね。帽子をかぶるとか日傘とか。」

「はい、ありがとうございます。」


今回はそんな感じでおわり。ここの先生は話していると落ち着く。立派に医者の才能だ。

帰り際にウーマンが「旅行楽しんでね~」と言ってくれた。もはや第二の我が家か。

 


帰りもバス停まで20分くらい歩いてバスに乗り駅まで向かった。もうかなり疲れた。移動を甘く見てはいけない。しかもこんな暑いなか何時間も外出するもんじゃない。私の体力レベルは地の底であるのに…

 


そんなこんなで2回目の病院は終了。また漢方煎じます生活のはじまり。最近はわざと強火で煎じて蒸発させ、飲む量を減らそうとしている。小学生か。

 


 

エアコンの効いた我が家に帰ってきてからは疲れたのでだらだらと過ごした。エアコンの寒さには慣れない。時々は廊下に出て汗をかく。最近はもっぱらこんな感じ。華のない毎日。

 


どうもむしゃくしゃしたときには本か服を買うことにした。衝動的に本屋に入り好きな映画の原作本を探し値段も見ずに買う。カバーをかけてもらい帰りのバスを待っている間からさっそく読みだす。本を作ってくれた人ありがとう。そして文章をうまく書ける人を心底尊敬している。

 


服は引っ越しの時にかなり捨ててしまったので、着るものがなくて困っている。ただのTシャツでもいいからほしかった。まちの商業施設に行きブラブラと店をまわっていく。ワンピースがほしいけどノースリーブばっかで困る。二の腕なんぞ出してたまるか。しかも夏真っ盛りだというのにもう秋物がでている。こんな暑いのに長袖の服なんて見ていられない。結局はセールで1000円にまで安くなっていたイエローのボーダーシャツを買った。ついでに白いベルトも。さっそく明日からきてやる。今までイエローなんて買ったこともなかったことにふと気づいた。明るい服を買うと気分も明るくなる気がして手を伸ばしたのかな。いい兆候だ。好みも漢方によって変わるのか?もともとは黄色が好きな体質なのかもな、なんて思いながら店を出る。

調子にのって新しい下着まで買っちゃって、店員さんにのせられてかわいいキャミまで買ってしまって、まあいいか~かわいいし。と自己完結。



ファッションにすごく気を遣うわけではないけど、そこらのおじさんよりは小ぎれいでいるはずだ。若いうちに派手な色や柄を着ておこうと思うようになったし、最近見ているネトフリの海外リアリティー番組ではゲイ5人から美について学んでいる。こりゃ立派な内面の変化だ。そう言ってくれ。難点はその変化を披露する場所も人もいないということだけど。

 

 


最近は部屋のエアコンが壊れたのでグログを怠っていた。今も暑さに耐えつつこれを書いている。情緒的な夏よどこに行った。もうそろそろ涼し気な夜風を吹かせてほしい。

 

 

 

20180810