都落ち女子大生の日記

都内の大学に通うも体調不良により就職活動中断、1年の休学を決断、そして田舎へ帰るのであった。

院長風の如く 

 

 

今日は休学の目的であるアトピー・体調改善のために市外のクリニックへ行った。そこは私のようなアトピー患者だけでなく、美容治療、ダイエット、植毛、アンチエイジングなど様々な目的の人々を受け入れる病院であり評判がいいらしい。

実家に帰り、さてこちらでも新しい病院を探さねばなあと考えていたところ、「ここのクリニックがいいってみんなが言うのよ」と母がどこからか仕入れた情報を教えてくれた。「いいと言うならば行ってみようではないか!(探す手間も省けるし!)」ということで特に予定もないし早速行ってみたわけである。

 

母の仕事が午後からであったため車で送ってもらったのだが、朝のバイパスってのはひたすらに混む。全然進まない。おいおい幸先暗いぞ大丈夫か?と少しばかり焦る。となりを見ると、明るい水色の軽自動車に乗るOLさんもちらちらと腕時計を見ながらハンドルを握りしめていた。わかる、わかるよその気持ち。月曜からこんなんじゃやってらんないよなあ。そんなことをぼんやり思っていると、母はおもむろにカーステレオを切り、iPhonespotifyを起動してプレイリストを再生し始めた。な、なんだなんだ?何が始まるんだ?渋滞にイラついたのか??と無表情で焦る。結局母がかけたのは大好きな大橋トリオと先日行った夏フェスでお気に入りとなった高橋優であった。いや思ったより牧歌的だな!また母はBluetoothなどという不可思議な技術には頼らず、iPhoneの音量を最大値まで爆上げして車内に響かせる。………いやiPhone思ったより音ちっさいな!明らかに車内には適さん!!聞こえん!余計イライラする!! 脳内でBluetoothスピーカーをぽちってあげた。

 

母も私も音楽が好きなので車に乗る時はたいてい何かしらの音楽が流れているが、今日みたいな渋滞だとやることがないので、まあひたすらに二人で歌うのである。母は謎に絶対音感だか相対音感だかがあり、完璧なハモリを繰り出してくるのでその点に関してはとても母を尊敬している。他の点については思い出したら言う。

 

 

 

 

そんなこんなで無事到着し、広めの待合室で問診票を書く。赤ちゃんからおじいちゃんまでまさに老若男女が集まっており、平日の朝からこの具合だとやはり人気の病院なんだなと安心した。

 

問診票に気になる症状を書き込んでいく。「ひえ、ほてり、肩こり、かゆみ、赤み、乾燥、不眠、汗をかきにくい、疲れやすい」などなど。これとこれ、あとこれもだな、あとこれも、、、とテストの採点のごとく〇が増えていく。自分気になる症状ありすぎじゃない…?しかも冷えとほてりが同時にあるって意味わからんな??不健康極まってんな?今更自分の身体の異常さに気付いて逆に笑えた。提出したら少し待って別の待合室へ。名前を呼ばれて奥へ進むと大きな部屋がしきりで分かれており、おおよそ10個くらいの小さな診療室が並んでいた。それぞれの部屋はベッドと荷物おき程度のスペースで、院長先生がいろんな診療室を歩き回りながら行ったり来たりするという珍しいタイプの診察であった。

 

最初に看護師さんと問診票に従って話をして少し待つ。そうすると5分ほどたって私の元にも颯爽と院長がインしてくる。

「はいはい、どれどれ。あーなるほどねー、食べ物のアレルギーもあると、、、あー顔と首があれだね、体も見せてね、体はブツブツ出る感じかー、はいはい、あーどうしようかな、漢方もやっていきたいんだよね。でも今までの薬も続けて飲まなきゃだめ!すぐやめるとぶり返すから!ここよく読んでおいて。あとこの漢方の説明も読んで!粉のタイプと煎じて飲むタイプがあるからね、この説明聞いた?聞いたかな?あ、そう。おけ。じゃあちょっと待ってね!」

 

診察なんだかただの独り言なのかわからないくらいしゃべり、風の如く院長は去っていった。エネルギッシュだけど的確というか無駄がないかんじ。よくわからないけどまあ理解してくれたらしい…。今までに経験したことのないタイプすぎて良し悪しの判断ができない…!

 

その後また看護師さんが来て漢方治療の説明をしてくれる。ふむふむと聞いていると、再び疾風の院長登場。今度は顔だけこちらに出して

「顔とからだ、どっち先治したい??ちょっと種類が違うんだよね!まあ先に見えるところのほうがいいかな?顔とか首かな?おっけーじゃあそういう感じでいきまーす」

と言い残し消えていった。その間私は一切言葉を発せず。むしろ悔しくなってくる。以降は看護師さんの説明を引き続き聞き、院長の姿を見る事はなく診療は終わった。あまりにもテキパキとしすぎていて顔もあまり覚えていない。まあいいか。

 

 

 

待合室で待つ母のもとへ、半ば茫然とした状態で戻る。院長だか看護師さんだかが話してくれた説明をぺちゃくちゃとAIロボットの如くそのまま垂れ流す。母も一安心といった具合で、よかったわね、渋滞してまで来た甲斐があったわとご満悦であった。

 

こうして本日の、いやもっと言えば、休学の第一目標を達成するための必須任務を終了した。その後に行った薬局もまたクセのあるところだったのだが、院長を思い出したら少々疲れたのでまた明日書く。

 

次回からは電車とバスを乗り継いでこのクリニックまで来なければならないので少々気が重いが、よい病院が県内にあるというだけでも大変にありがたいことである。今の私は「名医求めて三千里」といわんばかりの意志をもっていますのでこれくらいたやすいことである。幼少期は熱海まで月1で通っていたらしいし(あまり覚えてない)まあ近いもんだ。皮膚科は本当にピンキリだし、今回はこの病院を信頼して頑張ってみようと思う。